決算期を変更した場合の経審の受け方

公開日:2022年02月23日 / 最終更新日:2022年03月31日

決算期変更が行われた場合の経営事項審査のポイント

決算期を変更したことにより12カ月に満たない期間で終了した事業年度について、経営事項審査(経審)を申請する場合、通年の事業年度で受ける経審とは、申請要領、審査の取扱い等において、若干異なる部分があります。

以下、12月決算を6月決算に変更したことにより、期間が1月から6月までの6カ月である事業年度について経審を申請する場合を例示とし、決算期変更後に経審を受審する際の注意点を解説していきます。

決算変更届について

建設業許可を受けている建設業者は、建設業法第11条により毎営業年度終了後4カ月に「決算変更届」を提出することが義務付けられています。

 

経審を受ける場合、順序としてまず決算変更届を許可行政庁に提出しますが、決算期ごとに提出するものですから、前期が「令和2年1月1日~令和2年12月31日」だとすれば、これに続き「令和3年1月1日~令和3年6月30日」の期間で作成することになります。

 

それなら何も難しいことはないように思えるのですが、「様式第三号」(直前3年の各事業年度における工事施工金額)の記載に注意が必要です。

 

通常、様式第三号は直前3事業年度の工事施工金額が記載されるので、例示の場合、前期の同様式には、事業年度がこのように記載されているはずです。

【決算期変更事業年度の前期の直前3年の工事施工金額】

 ・平成30年1月1日~平成30年12月31日

 ・平成31年1月1日~令和 1年12月31日

 ・令和 2年1月1日~令和 2年12月31日

そして、また新たな決算期が到来するわけですから、審査対象事業年度の様式第三号についてはの「平成30年度」が消え、「平成31(令和1)年度」が一番上に繰り上がり、以下「令和2年度」「令和3年度」と3期続くように記載すればよいと、多くの方がお考えになると思いますが、正解は次のとおりです。

【決算期を12月から6月に変更した場合の直前3年の工事施工金額】

 ・平成30年1月1日~平成30年12月31日

 ・平成31年1月1日~令和 1年12月31日

 ・令和 2年1月1日~令和 2年12月31日

 ・令和 3年1月1日~令和 3年 6月31日

その理由は、「直前3年」と「直前3期」が一致しないからです。

通常の事業年度であれば、直前3年と直前3期は一致しますが、例示の場合、令和3年度は決算期を変更したことにより、事業年度が6カ月しかありません。すなわち3期分では「2年6カ月」にしかならないので、4期「3年6か月」分記載するというわけです。

 

3年とか3期とか、どうでもいいことのように思われるかもしれませんが、こういう記載の仕方をするのには訳があります。続きをお読みいただくと、この理屈がもう少しお分かりいただけると思います。

経営状況分析申請について

決算期の変更があり、当期(審査対象事業年度)が12カ月に満たない場合でも、経営状況分析の審査対象事業年度の期間は12カ月で申請しなければなりません。

 

12カ月に満たない事業年度について、期間を12カ月にして経営状況分析を申請するには、損益計算書・完成工事原価報告書・兼業事業売上原価報告書(兼業事業売上がある場合)・減価償却実施額について、前期の数値を基に「換算報告書」を作成し、経営状況分析機関に提出します。

 

ちなみに換算報告書とは、1年に満たない事業年度の財務諸表の金額を1年分として計算し直した結果の報告書で、各分析機関それぞれに様式があります。

 

前期及び前々期の審査対象事業年度は、財務諸表の数値をそのまま使います。

 

よって、前期が「令和2年1月1日~令和2年12月31日」、当期が「令和3年1月1日~令和3年6月30日」だとすれば、経営状況分析申請における審査対象事業年度は次のとおりです。

【決算期を12月から6月に変更した場合の経営状況分析の事業年度】

・審査対象事業年度:令和2年7月1日~令和3年6月30日

 ※令和2年7月から同年12月までの6カ月分は前期の数値を基に換算する

・前審査対象事業年度:令和2年1月1日~令和2年12月31日

・前々審査対象事業年度:平成31年1月1日~令和1年12月31日

経営規模等評価申請(完成工事高)について

経営規模等評価申請の審査対象事業年度の考え方は、経営状況分析申請の場合とはまた異なります。

 

「工事種類別完成工事高・工事種類別元請完成工事高」(20002帳票)の完成工事高及び元請完成工事高は、12カ月に満たない審査対象事業年度だけではなく、審査基準日から24カ月(2年平均)又は36カ月(3年平均)さかのぼり、前審査対象事業年度及び前々審査対象事業年度まで換算処理することになります。

 

すなわち例示の場合、2年平均の完成工事高を選択するなら審査基準日令和3年6月30日から24カ月「令和1年7月1日」まで、3年平均の完成工事高を選択するなら36カ月「平成30年7月1日」までさかのぼり、各事業年度の完成工事高を算定するわけですが、具体的には次のとおりです。

2年平均の完成工事高を選択する場合

A.直近事業年度:令和3年1月1日~令和3年6月30日(6カ月)

B.直近事業年度の前期:令和2年1月1日~令和2年12月31日(12カ月)

C.直近事業年度の前々期:平成31年1月1日~令和1年12月31日(12カ月)

【審査対象事業年度の期間及び完成工事高】

・期間:令和2年7月1日~令和3年6月30日(12カ月)

・完成工事高:(A完成工事高×6/6)+(B完成工事高×6/12)

【審査対象事業年度前期の期間及び完成工事高】

・期間:令和1年7月1日~令和2年6月30日(12カ月)

・完成工事高:(B完成工事高×6/12)+(C完成工事高×6/12)

3年平均の完成工事高を選択する場合

A.直近事業年度:令和3年1月1日~令和3年6月30日(6カ月)

B.直近事業年度の前期:令和2年1月1日~令和2年12月31日(12カ月)

C.直近事業年度の前々期:平成31年1月1日~令和1年12月31日(12カ月)

D.直近事業年度の前々々期:平成30年1月1日~平成30年12月31日(12カ月)

【審査対象事業年度の期間及び完成工事高】

・期間:令和2年7月1日~令和3年6月30日(12カ月)

・完成工事高:(A完成工事高×6/6)+(B完成工事高×6/12)

【審査対象事業年度前期の期間及び完成工事高】

・期間:令和1年7月1日~令和2年6月30日(12カ月)

・完成工事高:(B完成工事高×6/12)+(C完成工事高×6/12)

【審査対象事業年度前々期の期間及び完成工事高】

・期間:令和1年7月1日~令和2年6月30日(12カ月)

・完成工事高:(C完成工事高×6/12)+(D完成工事高×6/12)

その他経営規模等評価申請について

項番18「利益額(2期平均)」も完成工事高と同じ計算式で換算し算定します。

 

「営業利益」や「原価償却実施額」は、経営状況分析結果通知書にも「参考値」として記載されていますが、換算されているのは決算期変更があった「当期」のみなので、「前期」についてはあらためて計算し直す必要があります。

まとめ

決算期の変更があった場合でも、経営事項審査の審査対象事業年度は必ず12カ月でなければなりません。

 

冒頭にも申しましたように、まず決算変更届の様式第三号に計上する工事施工金額が3年分となるよう直前4期分を記載します。

 

続く経営状況分析申請では、損益計算書・完成工事原価報告書・兼業事業売上原価報告書・減価償却実施額について12カ月換算した換算報告書を用意すること。この換算報告書は、経営規模等評価申請のときにも必要になることがあります。

 

経営規模等評価申請においても、完成工事高及び利益額(2期平均)について12カ月に満たない期間については換算が必要ですが、経営状況分析とは考え方が異なっていることに注意してください。


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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